ローテ有識者を待つ。

私を強くしてください。

懐古④ サブカルパンクロック

二回目のもつオフは弥生くんの主催した2020年だった。

世の中にはちらほらとコロナのニュースが入ってくるくらいの時期だった。

開催自体は決定していたし、私も参加することに決めていた。ただ弥生くんに会いたかった。

 

「もつオフのPT決まってる?」とボッソウくんに声をかけられた。

全く決まっていなかった。私にとっては弥生くんと会う口実でしかなかったからPTのことはあまり気にしていなかった。

何も決まっていないならウインディ使えばいいじゃん、と提案された。

私はウインディが一番好きだ。BWのときはウインディをずっと使っていた。いつしかウインディをPTに入れなくなって、ローテでも一度も使っていなかった。理由はウインディはローテできっと活躍できないと思っていたからだ。弱い、ではないが輝くのはきっとダブルやトリプルの方だろうと思っていた。だから幾度も使おうと思ってはやめていた。

ウインディ使っても勝てるようなPT組めないし可哀想だからやらないというような返答をした。加えて「勝ちに行くようなプレイヤーじゃないし」と言ったと思う。

ボッソウくんから少し熱の入った感じで叱られた。

「引き潮はできるんだから勝ちにいけばいいじゃん。それなら僕がウインディ入りの強いPTを組む。だから本気で優勝狙いなよ」

実際はどうだったか、多少美化してるかもしれないけどこんなやり取りがあった。

そうだった、チーム戦の時に感じたことと同じだった。個人戦だから個人の責任で何をしてもいいと思っていた。大会の迷惑にならず滞りなくゲームが成立すればその先の熱量はなんでもいいと思っていた。

でもチーム戦じゃなくても、本気で取り組んで結果を出した人におめでとうと称賛していいのは本気で取り組んだ自分じゃないのか。自分の役割なんて考えは誰も望んでいなくて、結果が出た後の評価ではないのか。

ボッソウくんは前回のチーム戦で友人のPTを考えたんじゃないかと思うし、きっと彼の中でも何かが変わったんじゃなかろうか。

真っすぐ入った衝撃に多少うろたえてしまったが私はボッソウくんの期待に応えたかった。やっぱり私も「結果」を出したかった。

 

ローテレートが終わるとき、でぃーちょさんたちが大会を開いた。レーティングで結果を残した人と週末ローテで結果を残した人が参加できるとかそんな感じだったと思う。

対戦の世界だから誰が強いかを決めるグランドチャンピオン大会みたいのはあればもちろん盛り上がる。自分も誰が優勝するのか気になっていた。

しかしどこかで、しっかりと線を引かれた寂しさもあった。間に合わなかった。みんなの遊ぶ場所に自分は入れなかった。もっと真剣に取り組んでいたら届いた場所だろうか。きっと自分は下手だから入れてもらえなかっただろうな。そんなことを考えていた。非公式な大会だからより傷は深かった。自分はそっちじゃないって決めた理由の一つでもあった。

 

ボッソウくんの一言が、あとどれくらいローテを遊ぶ人がいるのか分からないこの瞬間が、チーム戦でのしこりが、私の取り組み方をほんの少し変えた。でも自分の中では大きな地殻変動だった。

それからPTを一緒に考えては練習をした。分からないことはなんでも聞いた。ボッソウくんはうんざりしていたかもしれないけど、理解できないまま準備不足のまま挑みたくなかった。ボッソウくんが使えばもっと勝てた、って思われたくなかったから初歩的なことも恥ずかしげもなく質問した。心配しすぎるくらい心配した。

ウインディから始まったPTは奇しくも私の好きなポケモンだけの並びになった。その中に入ったココドラ、ボッソウくんがよく使っていたレベル1ココドラ。個体こそ違うが参加しないボッソウくんの代わりとして結果を出してくれと託されたポケモンだった。

調整には参加者であるニガナちゃんにも付き合ってもらった。

 

もつオフにはseemさんの車に乗せてもらって向かった。しっとさんとしえるくんとタケダさんもいた。

しっとさんとは前回のもつオフで出会ってはいたがその時は確かしっとさんはスタッフで、関わりはほぼなかった。その後関西のローテの何かしらのオフで対戦したと思う。タラプファイアローを使っていたような気がするのだがそれがしっとさんじゃなかったらすみません。ずっと面白いご機嫌な人。切れ味が鋭い。

seemさんとも前回のもつオフで会っていて、実直な人だと思っていた。それからちょこちょこオフで一緒になるが対戦もせず会話もあまりせず、でも修ローテで優勝したときは流石だなと思っていた。

タケダさんはこのとき完全に初めましてだった。

車の中でみんなでPTの話をしていた。まだ準備してないなんて話もあった。ゴリゴリに準備して鼻息荒かったけどなんとか隠して話を聞いていた。

 

大会当日、ブロック分けでニガナちゃんと一緒になった。負けた。

このPTで個人戦では初めて大会の予選を抜ける。決勝トナメでは1落ち。れもんあめさんにボコスコに負けた。

でも本気で取り組んだからいつもより緊張したし楽しかった。バカみたいだけどもっと早くやってたらもっと早く結果出してたかもしれない。ボッソウくんの貢献ありきだけど。

 

もつオフが終わってすぐニガナちゃんにチーム戦に誘われた。新年度ローテチーム戦。

その時少し忙しかったこと、やはり自分ではPTを組めないことを理由に断ることにした。チーム戦だからこそ全力でやりたかった。

私が断ったことで、結果としてサブカルパンクロックが生まれた。ニガナちゃん、ボッソウくんともう一人はめもさんに決まった。

めもさんとはもつオフの本戦(打ち上げ)にて出会って少し話した。直後対戦して負けた。面白いPTを使う人で出会った中ではトップクラスのほんとにポケモン好きな人間。

私は都合がつくときには調整に付き合いますよと伝えていた。が、時が進むにつれてチーム戦に関係ない自分がいるのは悪影響だと思うようになりサーバーを離れた。

彼らで協力して掴んだ結果に自分が少しでも入ることをよく思えなかった。それくらい完成したチームだった。

それから少しの間はポケモンと距離を置いた。

 

2021年に声をかけてもらったのがめもさん主催の8パートナーズの大会だった。

ローテでもいつもと違う大会を開くからみんなで参加しようということでありがたくも誘ってもらえた。最初は不参加を予定していたが、ここで参加しなかったらもう本当に触らなくなるかもなと思い直し参加。やるなら自分にしかできない方法で結果を出したくてああいった形に落ち着いた。記事にしてますのでぜひ読んでください。

全力で勝ちに行った。ほんとに勝ちたかった。前回はボッソウくんの助けもあったけど、今回は自分でもそれなりにできると証明したかった。ブロック分けを見てそう思った。

この大会中サブカルパンクロックの3人とよくポケモンの話をした。主催もいれば同じブロックの人もいたから大会に直接関係することは話せなかったがやんわり牽制したり全く別のPTでフレ戦をして感覚を呼び起こしたりした。

一番ポケモンしたなぁと思っていた。結果は予選抜けの1落ち。それでよかった。今までとはもう違う目線でローテをしていた。お互いをたたえ合った。

 

この大会が終わってすぐにボッソウくんからまた声をかけられる。

「次のチーム戦、忙しくて参加できるかわからない僕の代わりにサブカルパンクロックとして参加してほしい」

快く引き受けた。迷惑な姿勢では取り組まない。青春のローテチーム戦、優勝すると決めていた。

それからチームで毎日のようにたくさん会議をして、ボッソウくんが暇なときには内容を伝えて改善点を聞いた。めもさんのPTが決まり、ニガナちゃんのPTも大体決まって練習をしていた。私はそこそこ決めては白紙に戻した。なじまなかった。

ちょうどしえるくんとチーム戦を共催したときくらいから、自分がローテ史において何だったかを考えていた。もちろん結果を残していなかったから何者でもなかったのだけど、ローテレートが終わりローテを遊んでいた強者たちがすこしずついなくなっていって私のふざけたPTや理解の行き届いていない立ち回りが変に残って目立ってしまうのは嫌だなと考えていた。王道のプレイヤー、王道の立ち回りができる人間にならなくてはローテの正確なゲーム性が伝わらないなんてこともあるのかもなと愚かなことを考えていた。

耐性と範囲の一致とか、サポートで壁貼ってエースで積んで殴るとか、一から復習していたからこの大会でもそういうPTを目指しては失敗していた。

結果、直前に突貫工事で作り上げたのだがチームメイトは嫌な顔せず練習に付き合ってくれた。めちゃめちゃ振り回したのに、良い仲間だった。

私たちは優勝した。たくさんの窮地はあったがチームメイトを信頼していたから負けるとは思わなかった。優勝する瞬間をボッソウくんに届けられて誇らしかった。

一番ポケモンしたなって思ったってさっき書いたけど今大会こそ一番ポケモンしてた。すぐ更新するくらい特別なチームだった。

サブカルパンクロックは今でも色々話すくらい仲がいいが、優勝したあとにはもし次チーム戦が開催された時は私はサブカルパンクロックには入らないと伝えた。

あくまでも私はピンチヒッターだと思っていた。もちろん4人は対等だけど、チームとなれば私は最高の控え。だとしたら外に出て万全のこの人たちと戦いたかった。そしてこの大会中に誘ってくれていたうめqさんと次はチームを組んでみたいと思っていた。

サブカルパンクロックの中で対戦の実力は私が間違いなく一番下だ。でも彼らとは考え方が唯一違う私だからできる一手がある。唯一彼らを驚かせるのも私だと思っている。

 

弥生くんが主催のゴールデンローテオン。個人戦で張り切るつもりだったがいろいろあってPTを準備できず、かといって不参加とは言えなかった。だから自分のイメージとは合わなさそうなポケモンを使ってみようと思った。壁パにできなかったのだけ悔やまれるけど弥生くんっぽくなったかな?ちゃんと全勝するつもりでいた。

結果は散々だった。立ち回りがどうしようもなかった。私は準備をしなきゃいけない人間なんだなと気付けた。足りない自分のままで次は勝ちたい。

めもさんが準優勝、ボッソウくんもベスト8と素晴らしい結果を残していた。嬉しい。

 

そうして3DSのオンラインサービスが終了することが決まった。ローテ二度目の完結。

わたらいさんが主催する永遠のローテチーム戦。ニガナちゃんに誘われて参加を決めた。もう一人はうめqさん。最後にもう一つ結果を残したかった。

今まで使ってこなかった天候パに着手。壁も使えそうなら使おう。今までできなかったことを少しは克服して終わりたかった。思えば常に直線的な、ダメージレースを相性補完で受けて制するサイキック構築を使っていた。今回も8割はサイキッカーだったが自分への課題要素もいれた。

ニガナちゃんとは今回も何度も考えがぶつかった。私はサブパンの3人と違ってPTの組み方が実践的というか、使ったポケモンの中から強いものを選びたいタイプだ。30回でも40回でも対戦してその中で削ぎ落として決めたい。しかしだいたいの人はまず使うPTを決めてテコ入れをする。真逆だ。だから会話が成立しない。ニガナちゃんはよくこんな奴をチームに入れてくれた。懐の深さがえげつない。サブパンで一番強くなるのはニガナちゃんじゃないかと思うことが多々ある。

うめqは終始穏やかで、気づけば対戦も消化していた。アドバイスもたくさんくれた。

予選が終わって、サブカルパンクロックの4人は別々のチームでみんな予選抜けを決めた。嬉しくて仕方なかった。私は優勝できるに決まっているとさえ思っていた。

ところがこの決勝トナメの期間中に心が完全に弱る。何をどれだけ考えても勝てるビジョンが見えない。都合のいい展開を考えたときでさえできないと思ってしまうくらい、自分の弱さにうんざりしていた。勝負事で必要なのはアスリートのメンタルだ。何をしてでも、なんてことは考えなくてもいい。ただ自分の選択を信じられるか。完全に心が折れていた私は結局負け続けた。チームメイトに勝ってもらってなんとか優勝はした。

なにも達成できなかったけど、結果だけもらえた。なんだか少し申し訳なかった。さすがに胸は張れないなぁ。

 

そうして完全に満足してしまった。最大限やってやっぱりセンスがないことが分かった。10年。それだけかけて分かったことは間違いないし納得せざるを得ない。悲しいことじゃない、とても前向きなただの実験結果だ。センスがないのに楽しめたんだから最高なことだ。それに決して努力が足りていたとも思わない。ただそのときにやれることだけやって最低限の笑顔だけ生み出したんだから上等だったのだ。そしてやっぱり誰かと遊ぶのは楽しい。弥生君が、ひこさんが、しえるくんが、サブカルパンクロックが沈んだ私を助けてくれたから10年もやれたんだ。もうオンラインはなくなるけど、これからは遊びたい人の為に遊ぶんだ。彼らのように誰かに手を差し伸べて引っ張り上げるようなことはできないかもしれないが、遊びたいと叫ぶ人のことは絶対に無視しない。そういう付き合い方をして生きようね。